ゆるがしこい節約メディア「ゆるぢえさん」

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こんにちは! 株式会社人間の社領エミです!

わたしは今、「人の忘れ物を売っている店がある」という噂を聞きつけ、大阪市は生野区の……

鉄道わすれもの店にやって参りました〜!

物でいっぱいの入り口を抜けると……

店内はこのように、誰かの忘れ物らしき商品がドッサリ!

忘れ物の定番である、傘や財布……

腕時計にアクセサリー。

パンチングミット…!?

亀!?

石像!?!?

な、なんなんだこの店は〜〜!?

店内をくまなく回ると、出るわ出るわ、珍品に次ぐ珍品たち。
およそどこかに忘れていきそうにない物もゴロゴロあるのですが、どういうこと? 本当に忘れ物なの!?

ということで早速、店長にお話を伺ってみることに!

店にあるのは、全て大阪府下の忘れ物たち


こちらが、『鉄道わすれもの店』店長の高橋さんです。この道14年の大ベテラン!

社領

高橋さん、今日はよろしくお願いします!

社領

ヒゲと!!

社領

タトゥーが!!

社領

すごいですね!!

高橋さん

気付いたらこんな仕上がりになってました

社領

気づくの遅っ!! 早速ですがこのお店、商品のラインナップがメチャクチャすぎるんですが……。一体何なんですか?

高橋さん

大阪府下の忘れ物を売る店です。店名は『鉄道』ですが、実際は鉄道に限らず大阪府下すべての忘れ物を取り扱ってます。

社領

そうなんだ! では、どうして『鉄道わすれもの店』という名前に?

高橋さん

この業態自体は僕がおこしたわけでなく、僕の代で三代目なんです。祖父が店を始めたころは鉄道の忘れ物をメインに扱っていたので、その時につけた店名だけ今も残ってる感じですね。

社領

なるほど……。

社領

あの、これも忘れ物なんですよね?

高橋さん

そうですよ

社領

えーーー!? こんなのどこに忘れるの!? どうやって仕入れたの〜!?

高橋さん

気になりますよね(笑)。じゃあ、落し物の仕入れ方法についてお教えしましょう!

仕入れ先は警察署!? 業者たちの仁義なき戦い

高橋さん

落し物は基本的に警察署で手に入れます。各警察署では数ヶ月に一度、保管期限の切れた落し物の競りが行われるんです。

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高橋さん

競りの時期になると、警察署から僕たち業者に通知がきます。だいたい2〜3ヶ月に一度くらいの頻度ですかね。

社領

警察署で、業者さんだけの競りなんてやってたんだ…! 今イメージしてるのは、目の前の商品にどんどんみんなで高い値段を言っていく、漁港とかのセリのイメージなんですが……?

高橋さん

そういう競売方式とはちょっと違いますね。入札は、各業者が商品ひとつにつき一度きり。一番高い価格を出した人が購入という流れです。

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このあたりの雑貨はすべて雑品なんだとか。意外と掘り出し物が眠ってそう

高橋さん

雑品・一点ものの選定は完全に警察のセンスなので、しょうもないものが一点ものになることも全然あるんですよ。逆に前、雑品の中に50万円で売れる時計が入ってたことがあって……。

社領

どえええ〜!!

現在修理に出しているというこの腕時計、ヤフオクの中古価格でなんと54万円! 時計の値段ってわからないもんだ……。

社領

いろいろ考えると、めちゃくちゃ値付け難しそうですね!!

高橋さん

目利きの力はかなり必要だと思いますね。欲しいものがあっても、他の業者より高すぎる値段をつけてもアホらしいし、でも他の業者にギリギリで負けてもめっちゃ悔しいし……。雑品を見る時も、じっくり見すぎると他の業者に『良い商品が入ってるのか?』って気付かれるので、かなり慎重に見ないといけない。

社領

ひぇー、ハイエナ達の集まりかよ! 私には絶対無理だ〜!

高橋さん

いやほんとに、競りの日は胃が痛くなりますよ! 普通に喋りながらお互い『今日買う気あるんかな』『幾ら持ってきてるんかな』『どんな車で来てるんかな』って腹の探り合いばっかりで……。

社領

一度の競りでどのくらい買うんですか?

高橋さん

競りの規模にもよりますね。人口密度が高い場所にある警察署だと、トラック2〜3台分出品があったりもしますし、逆にダンボール一箱分しかない警察署も……。僕は先月の競りでは300万くらい使いましたけど

社領

えええ〜〜〜!?!? どんだけ掘り出し物があったんだ!? すごい……!

意外とめちゃくちゃ忙しい!『鉄道わすれもの店』の仕事

社領

こういった業者さんって、全国にあるんですか?

高橋さん

あると思いますよ、大阪市内だけでも10社はあります。うちみたいに忘れ物専門じゃない、リサイクルショップとかも競りにくるし。

社領

なるほど。ズバリお聞きしたいんですが……儲かってるんですか……?

高橋さん

うーん……おすすめはしない!

社領

やっぱり〜!!! そんな気がしてた! めちゃくちゃお金使ってるもん!!

高橋さん

いや、うちは食ってくのがやっとくらいですが、一応稼げてます!(笑) ただ、新しく始めるとなるとかなりしんどい職業だと思いますよ。これ、うちの倉庫の画像なんですが……。

社領

な、なんじゃこりゃーーー!?!?

高橋さん

傘ですね。うちは傘だけで年間2万本以上は仕入れるんですが、まずこれを収容する倉庫が必要です。さらに、雑品も傘もひとつひとつチェックするんですが、7割以上がゴミなんですよね。ゴミって、処分するだけでも大金がかかるし……。

高橋さん

こういった売り物になるものも、すべて検品して整備やクリーニングをしてます。さらに、中古価格・新品価格を調べた上で値段をつけないとダメなので……。

社領

もしかしてわすれもの店って、めちゃくちゃ忙しい……!?

高橋さん

かなり大変ですよ! 新しく入ってきた業者さんでも、だいたい1〜2年でやめちゃう人が多いと思います。

厳選! おすすめ激安商品たちをご紹介

社領

ところで、このお店の『掘り出し物』って何ですか?

高橋さん

よく聞かれるんですが、掘り出し物って人によって価値観が違うから難しいなぁ……。うーん……うち、変な商品は多いんですけどね。

社領

存じ上げております

激レアらしいジェイソンのフィギュア。ちょっと暗がりに置いてあって一層怖い

社領

そうだ、安い商品とかってありませんか?

高橋さん

基本的には新品価格より安くしてあるので、単純にお得な商品は結構ありますよ。これは新品の箱ティッシュなんですが、150円で売ってます。

社領

おおー! これで150円は安い!

高橋さん

スーパーで買ったものの、レジ台にそのまま置いて帰っちゃったお客さんの忘れ物ですね。人気商品で即日完売してしまうので、いつもあるわけではないですが……。ほかにはゲームも安いですし、

PS3のソフトが全品500円!?

DSのソフトが500円から

高橋さん

ブランド品、時計なんかもちゃんと整備したものなので、お得かと。

中古でも30万は下らないロレックスが20万円…!

新品同様のカバンが新品の39,800円 → 12,000円

こちらも美品ながら、29,800円 → 8,000円のお値打ち価格

傷み具合によりますが、新品の1/10の価格のブランド品も多いです。安すぎる……。

社領

や、やっす〜!! 時計なんて、『フリマアプリで買ったら電池切れだった』なんて話もありますもんね。整備もされてるし実物も見れるし、ここで買ったほうが断然良さそうだなぁ……。

ほかにも……

充電器やコード類が500円! 中にはApple純正のものもあるので、かなりお得ですし……

新品同様、パナソニックのヘアアイロン「ナノイー」が7,700円 → 2,800円!

人気作品『Orange』の新品・全5巻が定価の3割引!


箱入り・新品の香水セットも4,649円 → 3,000円に〜〜! 匂いフェチな社領、大興奮です!

社領

え〜〜! 新品なのに! 新品なのにお安い〜〜っ!!

高橋さん

中古品じゃなく『忘れ物』だから、新品箱入りのものがあるんです。

社領

あ……そうか。全部、持ち主が手放そうとして手放したものじゃないのか……。そう考えると切ないですね。ここにあるものって、誰かが『失くした〜!』と思ったものなんだ。

中古品ではなく、『忘れ物』だからこその魅力

実は、私が『鉄道”わすれもの”店』と聞いて最初に想像したのは、あまり良いものではありませんでした。
もともと人の所有物だったものが、持ち主の意思に反してひとつの店に集まり並べられている。そこら中に怨念が浮いてそうな、気味の悪い雰囲気を想像していたのですが……。

実際に訪れてみると、印象は一変。

社領

このキャスケット、同じ型のがいくつもある!

高橋さん

売り物だったのかもしれませんね。業者さんの忘れ物も時々あるんですよ。

社領

なるほどー! 失くしたの、ショックだっただろうな……。

こちらは、昭和のエロ本「投稿写真」。『東京女子高生 やれるコやれないコ』て!
バックナンバー含め数十冊あったので、めちゃめちゃ読もうとしてたのかもしれません!!

これまた懐かしい! ゲームボーイアドバンスです。ヒコザルのシールなので、持ち主は私よりも少し年下の男の子か? 大胆な画面のひび割れから、天真爛漫でヤンチャな感じが予想されますね……。

箱つきの、綺麗なハートのネックレスもありました。
恋人にプレゼントする気満々だったでんでしょうね。サマンサティアラて……気合がすごい……。「お前のティアラは俺が掛けたるで」的な暗喩か? 「結婚してや〜」の白箱か? 「還暦迎えるまで一緒におりたいわ〜」で赤のリボンにしたってか? 送り主の男は落としてさぞ落ち込んだ事でしょう……「ざまあ」の一言です。

いやもしかすると、貰った女性があえてどこかに放置したものだったりして……。

 
……そう。忘れ物って、
見れば見るほど、それまでの過程を妄想するのがめちゃくちゃ楽しいのです。

高橋さんに一品一品点検された製品は、気味の悪さなんてどこ吹く風。
むしろ、中途半端な使い込まれ感に、こちらの想像力がグイグイ掻き立てられる始末。

社領

これ妄想するの楽しいですね、高橋さん!! どうしてここに来たんだろうと思うと、かなりノスタルジーな気分になるというか。『次は私が大事にしてやるからな』という謎の使命感にかられる……!

高橋さん

ここにあるものは全て、忘れ去られるっていうハプニングが起こった物ばかりですから。
『ひとつひとつに色んな旅があって今ここにあるんだなぁ、次の持ち主はどんな人だろう…。』
僕も、仕事をしながらそんなことを考えるのが好きなんですよ。なかなか大変な仕事ですが、面白いし、まだ暫くは続けられそうです。

14年ものあいだ、忘れ物たちの旅のお手伝いをしてきた『鉄道わすれもの店』。

雑貨から珍品まで種類は様々。ハプニング的にここにやってきた忘れ物たちが、次の持ち主を待ちながらひっそりと息づいています。

気になる方はぜひ一度足を運んでみてください。 思いもよらない忘れ物と出会えるかもしれません!

 

ちなみに!

お店の前には、高橋さんが近所で拾ってヒヨコから育てたニワトリ、ササキさんが〜!
ご近所では名物ペットだそうですよ!

 

お店の情報

鉄道忘れ物店 兼商
大阪府大阪市天王寺区堂ケ芝1-10-3
06-4305-1801
10:00〜18:00(日曜定休/祝日不定休)