はじめまして。松本ジュンイチローと申します。Webデザイナーをしながら工作家としても活動しています。
工作には主に粘土を使っているのですが、粘土をこねていると妙に落ち着くんですよ。もしかすると、前世では土をこねて土器を作っていた縄文人だったのかもしれません。
そんなわけで最近、縄文時代っぽいものに、ついつい惹かれてしまうんです。
「ポケモンGO」は縄文的だ
今、私が特に気になっているのが「ポケモンGO」です。皆様、プレイしていますか? 私はリリースされた日からプレイしています。
一時期の熱狂的なブームは落ちつき、規制も増えたものの、アップデートによって以前よりもプレイしやすくなった印象の「ポケモンGO」。実は、極めて縄文的だと思うんです。
というのも、縄文時代の食料調達方法といえば、狩猟・採集、それに栽培。「ポケモンGO」では、ポケモンを捕まえて(狩猟)、集めて(採集)、育てる(栽培)わけですから、やはり縄文的といえます。
「ポケモンGO」をもっと縄文的に
そんな縄文的な「ポケモンGO」ですが、どうしても物足りなさも感じてしまいます。というのも、縄文時代がそれ以前の時代と大きく違う点は、「土器」の使用を始めたことだからです。

縄文時代の食糧事情は、ドングリやトチノミといった木の実のアク抜きや、長時間の加熱が必要なものを食べるために使う土器を発明したことによって大幅に安定化しました。ちなみに、縄文時代の「縄文」という名前は、土器を作る際に、粘土の表面に縄を転がしてつけた文様が由来になっています。
ここまで言えば、もう、お分かりですよね。
そう、「ポケモンGO」には、縄文人の生活に欠かせない、肝心の「縄文土器」が使われていないのです。

▲ 縄文土器(新泉社「縄文土器ガイドブック」より)
そこで今回は、「ポケモンGO」をもっと縄文的に楽しめる「縄モンGO」をプレイしてみることにしました。「ポケモンGO」とは違って課金する必要もないので、ゲーム代を節約したい人にはおすすめですよ。
「縄モンGO」の二大アイテムをつくる
さっそく、「縄モンGO」の二大必須アイテムをつくっていきましょう。縄文人も、必要なものは自分で作りました。DIY精神ですね。
スマー土フォン
まずは、スマートフォンを縄文土器風にアレンジ。その名も「スマー土フォン」です。100円ショップで購入したスマートフォンケースに粘土を盛っています。
縄文土器は素焼きですが、今回は焼くことはできないので樹脂粘土を使用。
粘土紐と、タコ糸を縄にしたもので縄文土器風の文様をつけ、土器風に着色すれば、極めて縄文的なデザインの「スマー土フォン」が完成です。
縄モンスターボール
さらに、ポケモンを捕まえるのに必要な「モンスターボール」も縄文土器風に。その名も「縄モンスターボール」です。
ベースは、東急ハンズで購入した赤いカプセル。すでにモンスターボールの雰囲気がありますが、「スマー土フォン」と同じように粘土を盛り、縄文の文様をつけ、土器風の塗装をしたら完成です。
「スマー土フォン」は、くびれがいい感じに手に馴染み、縄モンGOがスムーズにプレイできるフォルムになっています。
「縄モンスターボール」は、マグネットで開け閉めができるので、中にちょっとした小物を収納して持ち運ぶことも可能。カラビナでバッグなどにつけると便利です。
「縄モンGO」で「ピカ隅」ゲットだぜ!
さあ、準備はできました。
さっそく、「縄モン」を捕まえに行きたいと思います。目指すはやはり、みんなに人気の「ピカ偶」でしょう。
なお、言うまでもありませんが、「縄モンGO」をプレイする際は、「歩きスマホ」はやめましょう。縄文時代において、狩猟・採集の際に周囲への警戒を怠ることは、命取りになりかねません。
いざ、狩猟採集へ
まずは「ピカ偶」を探して、上野公園へやってきました。
枯れた蓮が並ぶ風景が少し異様な雰囲気を放つ、不忍池の周りでは「みずタイプ」の縄モンはたくさん見つかりますが、残念ながら「ピカ偶」の姿は見えませんでした。
博士に会いに行こう
その後、世田谷公園にも行ってはみたのですが、やはり「ピカ偶」を見つけることはできませんでした。
「ピカ偶」、一体どこにいるんでしょうか……。何かが足りないのかもしれません。日が暮れていく中、途方にくれていると、あることに気づきました。
そうです。「ポケモンGO」では、最初に「ウィロー博士」がプレイについて解説してくれていたのでした。ならば、「縄モンGO」でも、まずは博士に会いに行かなければ何も始まりません。
ということで、モース博士に会うために、大森貝塚へやってきました。

縄文時代の「縄文」は、モース博士の命名によるもの。明治時代にアメリカからやってきたモース博士が、列車の窓から貝塚を発見し、発掘を行なったことで、日本の考古学は飛躍的に発展しました。
モース博士が貝塚を発見したように、私も「ピカ偶」を発見できますように。
そんな願いを込めて、モース博士の像に祈ります。縄文人たちが「土偶」に祈りを捧げていたように。

「土偶」は「埴輪」と混同しがちですが、古墳時代に権力者の墓に埋められたのが「埴輪」で、「土偶」とは異なります。「土偶」の用途は、はっきりと分かってはいませんが、女性をかたどったものがほとんどのため、子孫繁栄や豊穣の祈りを込めたものであると考えられています。サングラスをかけたような形の「遮光器土偶」が有名ですが、他にもさまざまな形の土偶がありますよ。

▲ 中央のものが遮光器土偶(新泉社「縄文時代ガイドブック」より)
今度こそ「ピカ偶」を求めて
翌日、「ピカ偶」が出現するという噂の木場公園にやってきました。
公園内を歩いていくと、「かくれている縄モン」に、ついにあの姿が。
いる! 近くにいる!
さらに進むと、公園の端に人が集まっている場所が見えてきました。
あの辺りに違いない。
焦る気持ちをおさえつつ、近づいてみると、
ついに現れました!
野生の「ピカ偶」です!!!!!
やっと出会えた「ピカ偶」、ここで逃げられるわけにはいきません。さっそく、「縄モンスターボール」を構えます。
狙いをさだめ「えい!」と「ピカ偶」に向けて投げつけると、
なんと、一発で「ピカ偶」に命中!
捕獲された 「ピカ偶」が「縄モンスターボール」に吸い込まれ、中で暴れています。逃げられないように、そっと蓋を開けて覗いてみましょう。
やったー!
見事に「ピカ偶」をゲットしました!!!
野生の「ピカ隅」を縄文的に観察してみよう
竹管文風のほっぺた
まず、「ピカ偶」の特徴的なほっぺたを見てみると、管状の植物で丸く印をつける「竹管文」風になっていますね。赤い色が入れられていた形跡がありました。
縄文時代の土偶の中には、朱色などの彩色の跡が見られるものがあり、縄文人たちはベンガラ(酸化鉄)などの天然の塗料で土偶や土器に朱色をつけていたんです。
デフォルメされた耳やしっぽ
また、女性の姿をデフォルメして作られた土偶のように、ピカ偶も尖った耳やギザギザのしっぽ、背中の模様が力強く表現されていますね。
縄文人たちが、土偶や土器を作る際に、写実的な表現をせずに極端なデフォルメを好んでいたことがよく分かります。
おわりに
やはり、「縄モンGO」は縄文的、かつエキサイティングですね!
いつでも誰でも、永遠に無課金で縄文的な狩猟採集を楽しむことができます。
ぜひ、皆さんも一緒に、縄モンGO!!!